マンション管理・運営コンサルタントの彩の国マンション管理センター(埼玉県さいたま市)

セミナー・相談会レポート

2019/6/8(土)開催セミナーレポート

【第1部】大規模修繕工事を成功させるために【第2部】マンションにおける相続の注意点

【第1部】大規模修繕工事を成功させるために【第2部】マンションにおける相続の注意点
開催日
2019/6/8(土)
開催場所
武蔵浦和コミュニティセンター(南区役所)

【第1部】近年、大規模修繕工事において、設計監理方式を導入するケースが増えております。しかしながら、不本意な設計コンサルタントにより管理組合の資産価値低下を招いている現状について事例を参考に考えてみました。【第2部】空き家が社会問題になってきている今、マンションでも起きている『相続』について、区分所有者と管理組合がどのような対策が必要か考えてみました。

大規模修繕工事の考え方の問題点

国交省推奨

大規模修繕工事の周期は国土交通省推奨の12年間隔が一般的になっております。1回目の大規模修繕工事は修繕積立金の残高や不足が生じる等の理由で、お金を極力抑える傾向があります。その結果、2回目・3回目の工事で同じ箇所を手厚く工事する必要性が出てしまい、お金が一層かかってしまいます。

周期変更

発想を変えて、第1回目の大規模修繕工事を手厚く行うことで建物の延命が図れます。仕様の見直しをすることで、修繕周期12年を15年周期以上に延ばすことで修繕工事の回数を減らすことが可能となります。修繕積立金を全て使い切ることなく、また、将来に亘り値上げ幅を抑えることで、マンションの資産価値を向上させることが可能です。(修繕積立金が高額になると資産価値は低下します)
そのためには、しっかりと専門家を交えて建物延命が可能な仕様を検討する必要があります。それを担うのが設計コンサルタントです。

設計コンサルタント(管理会社含む)の役割と問題点

透明性・公平性

大規模修繕工事の実施について、以前は責任施工方式が一般的でしたが、近年は設計監理方式(管理会社が行う場合も同様)を選択する管理組合が多くなりました。
専門家である、設計コンサルタント(管理会社含む)に任せることで【透明性・公平性】が図れ、管理組合の理事や修繕委員の負担も減りました。
設計コンサルタントの業務は、①建物調査診断、②改修設計、③施工会社選定、④工事監理と業務がわかれております。

実態

専門家に任せた結果、管理組合としては大規模修繕工事が成功したと安心しました。
しかし、一部の設計コンサルタントに不適切な行為が発覚し、国土交通省が相談窓口を周知し、管理組合に注意喚起するよう警鐘しました。発注者である管理組合の利益と相反する立場にたつ設計コンサルタントが存在したためです。
この問題は、管理組合の性質にも大きく関わっています。
理事や委員には専門家が少なく、工事には多額の費用が動くため、管理組合内で不正があってはならない、組合員からクレームも無く、責任を追及されない、などの理由が上げられます。
そのような状況を鑑み、設計コンサルタントを予算枠内(できるだけ安い)で選択することで、管理組合の知らない所で無用な支出が発生してしまいます。

リスクを回避するには

リスクまとめ

無用な支出を抑えるため必要なことは、管理組合として大規模修繕工事の進め方を十分検討することです。
また、設計コンサルタントへ全ての業務を一括で任せないことです。
例えば、設計コンサルタントの業務①~④を一括して委託することで、設計コンサルタントはあらゆる調整が可能となり、管理組合へ不利益な行為をするケースがあります。委託する業務を絞り込み、①~②をまずは委託するなどの検討が必要です。
そして、③の施工会社選定業務は管理組合が主体となり、公募を行うなどの方法があります。
④の工事監理業務は施工会社や設計コンサルタントと無関係な第三者を選択することで、適正な金額と品質が保証されるでしょう。
マンションの資産価値は修繕積立金が高額であったり、適正な工事が行われないことで低下します。
より多くの方がマンションに集う環境整備がとても大事なことです。
そのための労力は惜しまずに積極的に管理組合業務を行いましょう。

サポート事例のご紹介

事例

管理会社が設計コンサルとして進めたケース
【建物概要】
埼玉県川越市:築12年84戸のマンション

管理会社より大規模修繕工事の提案があり、建物劣化診断他、その対応に不信感をもった一部区分所有者が中心となり、修繕委員会を発足。
管理会社の関連会社以外の施工会社からも見積参加を募ることとし、業界紙などで公募したところ、13社の応募。
応募13社から1次、2次選定を経て、3社に対しヒアリングを行い、管理会社関連以外の大規模修繕工事専門会社に工事を発注することを決定。
その際の工事金額は、
【管理会社関連当初見積金額より20.4%も下回る金額で、2,600万円削減】
本来の工事金額は見積を数社へ依頼し競合させることで、適正な金額となります。

【第2部】マンションにおける相続の注意点~相続の生前対策をしないと不良資産に~

相続_7

空き家が社会問題になってきている今、戸建の空き家ばかり注目されていますが、マンションの方がこの問題に対してしっかり対策を講じなければ、ひょっとすると取り返しのつかない不良資産になってしまいます。
その空き家問題を考える上において、まず空き家の発生原因をつきとめなければなりません。
様々な原因が考えられますが、その中でもかなりの割合を占めている原因が【相続】になります。国交省の発表によれば、空き家発生原因の約52%が【相続】と言うデータが出ております。そう、この【相続】こそがマンション所有者や管理組合の方々に、今後多大な影響を確実に及ぼすのです。

相続_8

【相続】という言葉を問いかけると、多くの方は「我が家では関係ない」「お金持ちの人が考えるべき問題」等、他人事の方々がまだまだ見受けられます。
しかし、【相続】の本当の意味は、「人が亡くなる事で財産が他の人に移転する」ことを示しますので、ほぼ全ての人が考えなければいけない事なのです。
ここで「我が家には関係ない」と言っている方々は、我が家にはそれほど資産がないので、相続税が発生しないだろうと考え、「関係ない」と言う答えに至っている方がほとんどです。
【相続税対策】は【相続対策】の中にある一つになるので、まずは【相続対策】にしっかりと目を向けて考えていきましょう。

相続_10

また、スライドを見て頂けるとお分かりの通りですが、遺産が5000万円以下の方が遺産分割における訴訟割合の約7割を占めております。ですので「相続はお金持ちの人が考えるべき問題」という考えも今一度改める必要が出てきます。

相続_13

しかし、いざ【相続】に向き合うと、その対策を難しく考える方が多いです。
確かに難しい計算やテクニックが必要な場合も【相続対策】には必要ですが、皆様がしなければならない対策は3つだけです。1つ目は、相続財産を【わける】、誰に何を遺すのか、【争族】ならない為にはどの様に遺さなければならないのかを考える事です。
次に、相続財産評価額を【へらす】、これは相続財産そのものを減らすわけではなく、相続時に評価額を減らせる手法があるのであれば、それを講じるという事です。
最後には、相続税を【はらう】、ご存知の通り相続税は相続発生時から10ヶ月以内に一括納付が原則ですので、相続税が発生するのであればその資金を準備しておくことです。

相続_15

【相続対策】を考える上において、日本人の相続資産の構成も把握しておく必要があります。
日本人の相続資産構成の約5割は土地と不動産、そして不動産は「分割が難しい」「納税資金の確保が必要」などの問題点があります。と言う事は、最低限実家をお持ちの方に関しては、その不動産資産においてどのような生前対策を講じるかの検討から始める必要があります。
その対策を講じてないがために、日本においては「遺産分割において調停不成立のうち不動産含むもの」の割合が85%と驚異的な数値になっています。
また、相続財産は原則【時価】で評価されるという事も認識しておかなければなりません。

相続_16

さて相続税対象者とはどれくらい資産を持っている方かは明確に決まっております。
それは、基礎控除以上の資産があれば、それ以上の資産に相続税がかかります。
その算出方法が平成27年1月1日から相続税法改正により4割も削減されたのが、以前にも増して相続対策が急務になっている要因です。
さて、基礎控除を算出するに当たり法定相続人の特定は必須です。ここで最も重要な事は、家系図をいかに正確に描くかという事です。我が家に住んでいる家族だけではなく、夫や妻の親や兄弟はもちろんの事、その家族と出来るだけ範囲を広く書いておく事が大切です。
この家系図によって、どのような場合においても基礎控除が算出でき、資産の流れを把握する事が可能になります。という事は、家系図を把握する事が相続対策のスタートと言えるのです。

相続_23

次に全国的に問題になっている空き家ですが、この空き家問題はマンション管理組合の方々にとっても大きな問題を孕んでいます。
この空き家ですが、何となく空き家にしている方がほとんどです。という事は、いかに生前に対策を講じていないかに繋がってきます。
更に実家を含めて資産の相続放棄が増加傾向にあるのも更なる問題です。
その事によって、マンションにとって重要な「管理費」、「修繕積立金」、「共益費」が徴収できなくなり、マンション会計が悪化に繋がります。

相続_27

そこでマンション管理組合の取るべき対策は、相続発生後で相続人がいれば単純に相続人へ修繕積立金等の請求をすればいいのですが、相続人がいない場合は相続財産管理人が選任されるまで何もできないです。それにも選任請求等の費用負担が重くのしかかります。

相続_30

その為に当協会では、マンション所有者向けに「生前相続診断会」を実施し、争族と相続税対策などの今後の問題や誰に何を遺したいのかなどの意思の確認、居住の継承や売却、賃貸等の実家に対する具体的対策を一緒に考えていく事を行っております。

相続_32

最後になりますが、マンション会計悪化の一因となる空き家にしない、させない為の対策には、相続の本質を知る事が必要になります。これを機に生前に相続の事について考えてみて下さい。

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